自分が正しい。けっして間違っても誤ってもいない、と思いこんでいるからである。
ゆえに、白虎隊の隊士たちの状況の改善はむずかしい。
ささやかな救いは、https://www.deviantart.com/terry7090/status-update/--826747399 https://brandsly1.journoportfolio.com/articles/han-nochou-inanteshimasenyo/ https://aertshrkiaw4.cabanova.com/blogs.html 日向はまともに戦わぬということであろう。はぐれたり迷ったりするばかりで、実際に指揮をするのは籠城戦のときくらいかもしれない。
その
ゆえに、日向がなにを訴えようが、重臣は俊春を呼びよせ、おざなりに事の経緯を確認するだけにとどめるだろう。うやむやにしてしまうか、日向が叱責を喰らう程度のはずである。
さっきの俊春の機転をきかせた対応は、正しかったのだ。
日向自身、二度とおれたちにはちかづいてこないであろう。
残念ながら、かれの残念度はパーフェクトである。あれだけ俊春に諭されても、方針をあらためるつもりはないかもしれない、
になると、敗戦色が濃厚になる。残念なかれでも、ムチャぶりは控えてくれると信じたい。
「ぽち、副長のおっしゃるとおりだ。おぬしが脅してくれなければ、わたしは日向に刃を抜くところであった」
「おれもです。斎藤先生同様、「」をひっつかんでしまっていました」
斎藤とおれの声にというよりかは、心に反応したらしい。俊春はやっとをあげ、副長とやおれ自身のことを、あーなんだっけかな、主計?」
「『ディスる』です、副長」
「そう、それだ。ディスるんだったら、まだ馬鹿野郎の戯言としてするつもりだったが、白虎隊の餓鬼どもを、かようなふうにかんがえていやがるなどとはな。カッと頭に血がのぼっちまった」
副長は、そう告白してから苦笑した。
それは、斎藤も俊春もおれも同様である。
新撰組や自分たちのことは、多少いわれても屁でもない。
なにせ、いわれなれているのだから。 しかし、あの素直で勇敢な子どもたちのこととなると、そうはいかない。
たとえあの子たちが大人であったとしても、部下を駒につかうのが当然のこととかんがえていることじたい、武士や家柄とはなんの関係もない。としてどうよ、っていいたくなる。
「ぽち。あの男は、その脚でなんらかの伝手のところに駆けこむであろう」
「斎藤先生、承知しております。日向家は上級藩士。なれど、かれは主計の表現するところのかなり残念でイタイ御仁です。もともと家老附組頭でしたが、砲兵隊へとまわされております。その家老というのが、田中様です。駆けこむとすれば、田中様のところです。かれの評判はすこぶる悪い。ほかの家老では、きいてくれるどころか門前払いされます。家族ですら、かれをもてあましております」
は、新撰組に好意的である。俊冬俊春の二人にたいしては、かなり気をつかっている。
なるほど。ならば、日向が訴えてもぜったいにスルーされる系の事案になる。
ってか、俊春はなにゆえ日向のことをそんなにくわしくしっているんだ?
「なんと、よくしっているな」
いままさにおれが疑問に思ったことを、斎藤が代弁してくれた。
「主計が白虎隊について心を痛め、どうにかしたいと願うのはわかりきっています。それを副長に話すことも。さすれば、副長ご自身も同様に願うことは当然のことといえば当然のこと。そうなれば、白虎隊の隊士というよりかは、それを統べる日向とひと悶着あるやもしれませぬ。調べておいて損はないであろうと判断し、ざっと調べておいたのです」
もう思うことはない。
『ぽち』、だなんて日本のオーソドックスな犬の名など控えめすぎる。もっとこうキラキラネーム的なものか、高貴なネーミングでないと気がすまない。
「まったく。誠にくそったれだな、ぽち」
副長は、またしても俊春をくそったれ呼ばわりしている。
「それにしても、さっきの日向の面をみたか?怯えまくっていたではないか」
副長は、俊春とをあわせたまま大笑いしはじめた。
無意識のうちなのかもしれない。自然な動作で掌を伸ばすと、俊春の頭をがしがしなでる。
「脅すところなんざたまにそっくりだな、ええ?」
副長は俊春の頭をなでつつ、かれのをのぞきこんでいる。
その副長の言葉に、なにゆえか違和感を覚えてしまった。
なんの根拠もない。それなのに、なにかがひっかかった。
副長は、斎藤に俊冬が勝海舟を恫喝したときの話をとくとくと披露しはじめている。
頭をなでられ、俊春は例のごとくめっちゃうれしそうなになっている。
「よし。仕切り直しだ。あっちの部屋へいって喰おう」
「では、温め直し……」
「ぽち、かまうもんか」
副長は、いってすぐ行動である。いまも、俊春からはなれると自分の分の膳を胸元に抱え、さっさとあるきはじめてしまった。
おれも斎藤とともに自分の膳を抱え上げ、あわてて追いかける。
「あの、副長。一つよろしいでしょうか」
まだ正座したままの俊春が、廊下にでた副長の背におずおずと尋ねた。
「『くそったれ』と『馬鹿野郎』では、どうちがうのでしょうか」
その問いに、副長は振り返った。
「そりゃぁきまってるだろうが。褒めてるのとけなしてるってやつだ」
副長はそれだけ答えると、廊下を音高く踏みしながらあるいていってしまった。
やっぱ俊春は、自分が「くそったれ」認定されているのを気にしているんだ。