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土方と斎藤が戻

土方と斎藤が戻ってきたのは、日が暮れかかった頃だった。それも後援者達をぞろぞろと引き連れており、宴会を開くとのことである。 どうやら、この中にも新撰組に入隊したい者や、息子や親戚を入れようとする者がいるらしい。その為、には扱えなかった。 食料や酒を持ち込んできた為、避孕 宴会はそう時間を待たずに始まる。 部屋の中はたちまち浮ついた笑い声と、むわりとした酒の臭いで充満していった。 江戸は幕府の直轄領であるため、殆どの人々が幕府贔屓である。その幕府へ楯突いた長州を筆頭とする不逞浪士を、池田屋や禁門の変で退けた土方は最早この石田村の英雄のような扱いだった。そのためか誰もが話を聞きたがっている。...

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再度歩みを進

再度歩みを進めていると、土方が口を開いた。 「おい、斎藤は分かっていると思うが。鈴木は姉の " とく " には気を付けろよ。やたらと勘が鋭いンだ。嘘も という二番目の姉と仲が良かった。富途信託 日野の名士であり、今や新撰組の良き支援者であるしており、とくは彼の母親代わりだった。血筋なのか、弟を守らなければならないという境遇のせいか、きっぱりと物事を言う女性だった。 「優しいんだが、怒るとおっかねえよ」 そう言って笑いながら肩を竦める土方は、鬼の副長の仮面はすっかり外れている。夕陽に照らされて、影が伸びる頃に石田村へ踏み入れる。多摩川沿いにそこはあった。...

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からなのかは

からなのかは分からない。 斎藤に限っては京だろうが江戸だろうが一切変化を見せなかった。彼らしいと桜司郎は口元を緩める。 「鈴木。どうだ、江戸は。安全期 何も思い出せねえか」 土方は首だけを捻って、後ろを歩く桜司郎へ話し掛けた。 「うーん……分かりません。でも……」 「でも?」 「江戸……好きかも知れません」 その返答に、何だそりゃと土方は笑う。斎藤と伊東も口角を上げていた。 何とも抽象的な返答だとは自分でも思っていた。だが、風を切って歩く度に全身が喜びに近い感情に震えているのが分かる。懐かしさとも、郷愁とも言えぬ感覚が腹の底から湧き上がっていた。...

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そこには既に

そこには既に見送りをしようとする隊士達の姿が疎らにあった。ついに出立の刻が来たのかと緊張で手が震える。 前をしっかりと向いて歩き出すと、植髮 土方の横には永倉と沖田の姿があった。 山野、馬越、松原と挨拶をした桜司郎はその方へ足を向ける。 それに気付いた沖田は淡い笑みを浮かべた。二人は向かい合うように立つ。口を開いたのは沖田だった。 「桜司郎さん、立派にお務めを果たして来て下さい。……道中も、稽古を怠らないように。貴女なら心配は要らないと思いますが」 何時しか桜司郎の存在が自身の中で少しずつ大きくなっている。試衛館の同胞とは別の存在として。...

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りも打算も無いも

りも打算も無いものと信じたかった。 それ程までに良い句だと沖田は視線を落とす。 「有難う、沖田君。では……邪魔をしましたね」 そう言うと、伊東は去って行った。その時の風と共に桜の花びらがふわりと部屋の中へ舞い込んでくる。 山南さん、と小さく囁いた沖田の横顔を夕闇が照らした。その夜。桜司郎は土方から呼び出しを受け、副長室に居た。その横には近藤や斎藤、M字額 沖田の姿もある。 何故この面子の中に、と動揺しながらもそれを顔には出さずに神妙な面持ちで背筋を伸ばした。 「あの……私、何かしましたか」 静寂に耐え切れなくなった桜司郎は小さく手を挙げ、おずおずと発言をする。...

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