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三津は怪訝な表情をしながら渋々承諾した

三津は怪訝な表情をしながら渋々承諾した。 繕いものも仕事の内,断ることは出来ない。 だがさっきとは違い警戒心は剥き出しにしておいた。 「悪いね,後で部屋まで持って行くわ。」 隊士は馴れ馴れしく三津の肩にぽんっと手を乗せた。 『部屋に来るとか下心丸出しやんか。』 ここまで軽く見られると恐怖心より怒りの方が勝る。 自分の身は自分で守る。こんな人の思い通りになってたまるか。http://blog.udn.com/KristinCoffman/170714315  https://freelance1.hatenablog.com/entry/2022/01/20/230856  http://janessa.e-monsite.com/blog/--92.html  三津は意地でにっこりと笑ってみせた。 仕事を終えて帰るはずのたえは三津を残して帰る事を躊躇して台所に居座っていた。 「今日は泊まってくから!」 そう言い張るたえを三津は気丈に振る舞って勝手口から帰そうとした。 「それはあきません! 子供さんも旦那さんも待ってはるんですから早く帰ってあげて下さい!」 三津はさぁ帰った帰ったと背中を押して強引に外へ追い出す。 「いざとなったらど突きますからね!」 ご心配なくと笑顔で手を振り,たえの姿が見えなくなるまで見送った。 『さて…どうやって威嚇してやろう。』 これからあの隊士が部屋にやって来る。 もしかしたらもう忍び込んでいるかもしれない。 三津は恐る恐る廊下を歩いて部屋へ戻った。 音を立てないようにそっと障子を開けて中を覗く。 『自分の部屋に入るだけやのに何をやってるんやろ。』 ふぅと小さく息を吐き,中に入って後ろ手で戸を閉めた。 本当に着物を持って来るかは分からないが一応裁縫する用意はしておくか。 ごそごそと引き出しの中を漁っていると,後ろから急に口を塞がれた。 「んっ!」 あっと言う間に視界には天井と自分に馬乗りになる男の顔が映った。しまった…。 さっきより注意深くしてたつもりなのにこの有り様だ。 同じ目に遭ってたまるかと男を睨みつけても,その目は潤んでいて迫力の欠片もない。 『恐いけど何とかせな…。』 でもどうすればいいのか,頭の中は真っ白だ。 たえにも大丈夫と大口を叩いたあの威勢の良さは完全に消えていた。 「…おかしいですね,確か着物のほつれを繕ってもらう約束でここへ来たはずなんですが。」 急に聞こえた第三者の声に隊士も三津も驚きを隠せない。 「あぁ!今からズタズタになるのを先読みしてお願いしてたんですね。」 二人の反応を余所に,全く感情のこもっていない言葉を吐きながら,隊士の首筋に研ぎ澄まされた刃をぴたりと当てた。 隊士の歯はガタガタと音を鳴らし,額には大量の脂汗が滲んだ。 刀を握る人物が隊士の背後から見えた時,三津は思わず息を呑んだ。 今まで見た事がない冷たい目で笑う総司がこちらを見下ろしている。 「あなたごとズタズタになる前に三津さんから手を離してもらえます?」 でないと三津が血で汚れてしまうと恐ろしい言葉を平気で言い放った。 その気迫は三津も呼吸が出来なくなる程。 素早く三津から手を離した隊士はその脇に尻餅をつくように座り込み,腰を抜かしてしまった。 「ゆっ!許してくれ…!」 総司を見上げて必死に許しを乞う。 それを見て抜かれていた刀は鞘に収まった。 「謝る相手が違いますね。三津さんに謝りなさい。」 どうせ出来心だの悪ふざけだったと言い訳を並べるのだろう。 それでも三津は恐い思いをした。 その様子を楽しみ,懲りずに手を出そうとしてよくも許してくれと言えたもんだ。 『例え三津さんが許しても私は許しませんからね。』 総司は土下座で三津に謝る隊士を見ながら口をへの字に曲げた。 刀は鞘に収めたけれど,怒りの収まり所は無く手を柄にかけたまま殺気を漂わす。 「こら総司。斬るんじゃないぞ。」 その殺気を打ち消したのは源三郎の柔和な笑顔だった。 「許し難いのは分かるが罰が下るんだ。今日はその辺にしておけ。」 気軽に総司の肩を叩いた。 「罰?」 三津が首を傾げて総司を見上げると,その顔には悪戯っ子の笑みが戻る。 「あなたのその根性は明日の稽古で叩き直してあげます。相手はもちろん私と土方さんですから。」

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