それを遠目から目撃した人物がいた。夜番のために昨夜の宴に出られなかったために事情を知らない人物、武田である。
二人揃って帰ってきたことに目を丸くした。
沖田は武田の存在に気付くと、会釈する。
「武田さん、https://www.easycorp.com.hk/en/offshore 夜番ですか。お疲れ様でした」
「あ、ああ…。それより!沖田君…?あ、貴方達は何方へ行かれていたのでしょうか」
武田の問い掛けに沖田と桜司郎は目を合わせた。その思わせ振りな態度が武田の鼓動を早くする。
「…ええと、きちんと副長に の許可は頂きましたから。では、私達はこれで」
沖田はそう言うと、桜司郎の腕を引いて武田の横を通り過ぎた。すると、布団に焚き込められていた香がふわりと悪戯に武田の鼻腔を掠める。
その瞬間、武田は絶句した。
沖田総司と鈴木桜司郎は念友だと、そう勘違いしたのである。
武田の悲哀を他所に、二人は邸内へと入っていった。その日のうちに伊東一派の入隊が決まった。
決め手は土方が伊東の前に差し出した、三木の証文だった。
しかし勝手に約定を取り付けた愚弟を大して叱ること無く、伊東はそれをすんなりと受け入れる。
「近藤局長。が無くとも、既に心は新撰組と共にと決めておりました故」
何故なら伊東には、新撰組の持つ屈強な人材が何よりも魅力的であり、そして昨夜の桜司郎の演出が脳裏にこびり付いて離れなかった。
と情緒を理解し、かつ先進的な思想を持つと考えられる鈴木桜司郎という人物を手に入れたい。
その思いで胸が満たされていた。
「そうかそうか!それは嬉しい限りだ!これから宜しく頼みますぞ、伊東殿」
上機嫌の近藤に対し、土方は眉間に皺を寄せて何処か険しい表情である。
山南は穏やかに笑みを浮かべていた。
「なあ、一つ聞いていいか?」
土方は伊東に視線を向けたまま、口を開く。
「はい。何なりと」
「俺ァ育ちが良くねえもんでな。口が悪いのは勘弁してくれよ。…散々渋っていたのに、"既に心は決めていた"とはどういう事なんだ?」
気性の荒い猫が毛を逆立てるように、警戒心を顕にする土方を見て、伊東はくすりと余裕の笑みを漏らした。
「言葉の通りですよ。江戸でお声掛けして頂き、上京を決めた時点で殆ど心は決まっていたような物です。そこから実際の隊を見てみて、確信に変わりました」
「何の確信だ」
「新撰組は更に高みを目指せる、と。の志は此処でなら実現出来るのではないかと」
話術に長けた伊東の口から、新撰組の明るい未来を感じさせる言葉が出たことで、更に近藤は機嫌を良くする。
「学識高い伊東殿がそう申すなら、新撰組の未来は保証されたも同然ですなァ!」
農民の出のためか、学者先生という立ち位置に滅法弱い近藤は伊東の に心酔し始めている。
学があるのにも関わらず、自身を持ち上げてくれる武田を重宝するのも同じ理由だった。
人は自身に無いものを持つ者には弱い。
「今の新撰組の実情は理解しているのか?それこそ、お前さんの考える尊皇攘夷は出来ちゃあいねェ。思想とやらもてんでバラバラだ」
「ええ、勿論理解していますよ。思想こそ自由なのです。様々な考えを持つ者が集うことによって、組織はより豊かさと多様性を持ち、発展していくというものです」