らしくて柔軟性のある大人なおれは、子どもらの期待をさわやかな笑みと精一杯の肯定的な言葉でもって応える。 「そうこなくてはな、主計。では、さっそくはじめよう」 俊冬は、準備している畳二畳ほどある筵を、花子の馬房のまえに敷く。 安富だけは花子の馬房内にいるが、ここからでも充分馬房内をチェックできる。 「腹の筋と背の筋を鍛える方法だ。これは、
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https://blog.naver.com/nav3656/223187997269 簡単であろう」 俊冬が指を鳴らす動作をすると、俊春が腹筋をはじめる。しかも膝頭を立てるきっつい方のやり方だ。しかも、脚をおさえてもらったりのってもらうでもない。さらに、めっちゃはやい。 「簡単であろうですって?これ、素人にとっては地味にたいへんなんですよ。鉄、銀。どちらか、脚をおさえてくれないか?」 「いいよ、主計さん。おさえてあげる」 横になって脚を膝を曲げて直角に立て、脚首のあたりを鉄がおさえてくれる。 すでに俊冬もはじめている。もちろん、俊春同様めっちゃはやい。 のろのろとやりはじめる。 余裕があったのは、最初の30回程度。誠に、情けない話であるが。 一時期、訓練所に泊まり込んだ際にやったことがある。三日坊主ではない。ある程度つづけた。証人もいる。いや、証犬か。が、それもしばらくまえの話である。 それは兎も角、30回を超えると苦しくなってくる。さらには、100回を超えると、どうでもいい気持になってくる。さらにさらに、150回を超えると、悟りをひらける。同時に、チートっぽくなってくる。すなわち、ほんのわずか頭が筵からはなれる程度ですませてしまう。 正直、これでは腹筋をつかう必要もない。そう。腹筋を鍛えていることにはならない。 これ、いつまでやらされるんだろう?と、ぼーっとした頭で考えながら双子をチラ見すると、ちゃんとしたスタイルで、しかもはやさも衰えることなくつづけている。 すでに千を超え、万をも超えているのでは?という勢いである。 「主計さん。そういうの、チートっていうんだよね?」 「はあああ?これのどこがチートっていうんだ、鉄?」 以前にも言及したと思うが、って、真実を指摘されるとキレる。 「だってほら。ぽちたま先生と、ぜんぜんちがうよ。それに、はやさもちがうし」 「なにいってるんだ、銀。はやければいいってものじゃない。こういうのは、自分のペースで一回一回、きちんとこなすのがいいんだ」 「ホワット・ザ・ヘル!」 かれらが同時に叫ぶ。 だめだ・・・。なにゆえ、新撰組でスラングが横行しているのだ?しかも、自然な感じで発音もいい。 正直、手に負えそうにない・・・。 「主計、主計。このくらい、ちゃっちゃとやらぬか」 「たま。このくらいって・・・。超人、いいや仙人、いいや神仏悪魔と鬼レベルのあなた方には、このくらいかもしれませんが、そこらにいるお犬様の散歩係にとっては、とんでもなくきついんですよ」 双子は腹筋を堪能したのか、つぎなるトレーニングにうつろうとしている。 「ったく。ひと寝入りしたら、笑うのがつらいほどの筋肉痛になってますよ」 『おれは若いんだから、筋肉痛はすぐにでるんだよ』と、さりげなくアピールしておく。 なーんて、根拠のない説に、都合のいいときだけすがるおれ。 筋肉痛がくるのがおそいのは、加齢によるもの、というのはちがうらしい。若くても、おくれることはある。 そのは、運動の激しさらしい。激しければ激しいほど、はやいのだとか。へたをすれば、運動中にくる、なんてこともありえる。 「ならば、ほかの箇所も痛くなれば、ちょうどよいではないか」 「いえ。そんな問題じゃないんですよ、たま」 「さて。おつぎは、足腰を鍛える」 さすがは「ゴーイングマイウエイ」俊冬。こちらの訴えをきいちゃいない。 俊冬が合図を送ると、俊春が両脚を肩幅にひらいてエアーチェアの姿勢をとる。その肩に、俊冬が身軽にのってみせる。もちろん、土台である俊春のエアーチェアは、崩れるどころか揺らぐことすらない。 「エアーチェアって・・・」 もはや渋々である。おなじようにエアーチェアをするタイミングで、俊冬が島田に、おれの肩にのるように頼む。 「ちょっ、だめです。これだけでも数分できるかどうかって状態です。島田先生にのってもらうなんて、絶対に無理です」 「島田先生は、身軽でらっしゃるぞ」 「なにをボケてるんです、たまっ!島田先生の身軽さを問うているのではありません。おれの足腰の弱さのことをいっているんです」 怒鳴り返しただけで、太腿とふくらはぎが悲鳴を上げている。はやくも、ぷるぷるしはじめている。 「ならば、太腿の上に・・・」 「だから、無理なんですってば」 再度怒鳴ってから、しまったと口を閉じてしまう。 そうだった。四つ脚の