が数十センチと距離をおかずにあったので、よりいっそう驚いてしまった。予期せぬホラー展開に、悲鳴がでそうになったのを、必死に呑み込む。
「やめてくれ、主計。わたし、http://janessa.e-monsite.com/blog/--44.html
https://besidethepoint.mystrikingly.com/blog/3f97f45d1db 否、わたしたちのせいで、おぬしが心を砕く必要はない。もう大丈夫だから」
俊春である。血まみれのなかに、悲しげなも、おれを気遣うように細められている。
「大丈夫じゃないでしょう?あんなに殴られて、怖い思いをして・・・・・・」
またしてもいい淀んでしまう。これ以上は、デリケートな部分である。過去になにがあったか、本人から直接きいたわけではない。あくまでも、おれの想像である。軽々しく口にだすものではないだろう。
なんとつづけようかと迷っているうちに、島田が戻ってきた。ちいさな桶と、かたく絞った手拭いをもっている。ちいさな桶の上の方は、砕かれたように割れてしまっている。
ちかくに井戸があるらしい。
おそらく、それもあってホームレスや旅人が一夜の宿とするのかもしれない。
「おれがやる」
永倉が立ち上がろうとするのを、原田が制する。
「おまえの馬鹿力じゃ、俊春も痛いだけだ」の血糊をぬぐいはじめた。
「いくらなんでもやりすぎだ」
ごついナイチンゲールは、独り言のようにつぶやく。
「悪かったよ。自身、なにゆえかわからぬのだ。二、三発って思ってたのに、気がついたら・・・・・・。俊春、すまぬ」
永倉は胡坐をかきなおし、深々と頭を下げる。
「永倉先生、おやめください。あなたのせいではありませぬ」
めずらしく胡坐をかいている俊春は、血まみれの掌をふって永倉に頭をあげるよう合図を送っている。
「動くな、俊春。ちょっとまて。拭っておわったら、いくらでも新八を殴っていいからよ」
「左之、おまえなぁ」
「永倉先生に殴るよう仕向けたのは、わたしです」
原田に血糊を拭ってもらいつつ、俊春は謎めいたことをいう。その俊春の掌をなめようと、相棒が鼻面を突きだし、舌をだしかけている。
「相棒、だめだ」「穢れた血だ。なめぬ方がいい」
そして、俊春はそうつぶやきつつ、掌を握りしめて避けた。
狂犬病は、昔からある。たしか、1730年ころに長崎で発生したものが、日本全国に伝播した記録に残る最初だったかと記憶している。そのあともあったのであろうが、記録に残る確認をされるのは、明治六年になってからである。
とはいえ、ワクチンを接種していないいま、確実に狂犬病になっていないとはいいきれない。
狂犬病の名や実態はともかく、俊春にそういうが、あるという知識は当然ながらあるはずだ。
なにせ、かれ自身「狂い犬」の二つ名があるのだ。それは、狂った犬のごとく暴れ、死をもたらすという、創作的にはカッコいい意味を含んでいる。
自分の血を穢れていると、相棒のことを逆に心配してなめるなといっている。
「いまの、どういう意味なんですか?」
自分でも驚くほど可愛げのない声になってしまった。
副長にしろ俊春にしろ、言動が謎すぎる。しかも、みんなはその謎に気がついている節がある。野村もふくめて。
おれだけわかってない?いい方がぶっきらぼうに、ってか、すねてるようになるのも仕方がない。
「言の葉のままだ」
そして、俊春からかえってきたそっけない答え。
「永倉先生を誘導したのだ。わたしをフルボッコにするようにな」
原田のおかげで、かれの
狂犬病のことがある。万が一のことを考慮し、とっさにとめてしまった。
相棒が、思春期の息子がウザい父親をみるような
原田は、島田から桶と手拭いを受け取って俊春の横に座ると、かれのの血糊が、じょじょにうすらいでゆく。桶をさりげなくみてみると、真っ赤になっている。
「フルボッコ。超ウケる」
おれの背に、野村のくすくす笑いがぶつかる。
「なにゆえです?まったく意味がわかりませんよ」
最近、いじられ方がみょうにハイグレード化してやしないか?
ミステリーチックすぎて、おれにはついていけない。
「永倉先生、兄はわたし以上に拳を喰らいましたか?」
「あ?いや、おまえとおなじくらいだ。おそらく、だが。のときも、さっきと同様気がつけば左之と島田にとめられていたのでな」
「よし。血糊はあらかた拭えた。だが、あっちこっち切っているぞ。おまえは、誠に生傷が絶えぬな、俊春」
永倉にかぶせ、原田が嫌味ったらしくおわりを告げる。
もちろん、その嫌味は永倉にたいしてである。
「ありがとうございます」
俊春はちいさく礼をいうと、正座になって副長に詫びる。
「取り乱して申し訳ございません」
一礼し、姿勢を正す。
「俊春。自身を追い詰める必要はねぇ。そんなことばっかやってたら、いつか壊れちまう。それでなくっても、怖いんだろう?無理する必要なんざねぇんだ」
さきほどとはちがい、副長の声はいままできいたことがないほどやさしい。