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橘の手に手を重ねたら優しく握られた

橘の手に手を重ねたら優しく握られた。

綺麗な指だが手の平は刀を握るせいかゴツゴツとしていた。

自分を引っ張って立たせてくれる腕も逞しい。

 

 

『これぐらい優しいといいのに,誰かさんも。』https://lefuz.pixnet.net/blog/post/114149467 https://johnsmith.e-monsite.com/blog/--1.html https://www.evernote.com/shard/s330/sh/f99c84eb-8376-422c-ee0e-c1295b58151b/42QHv2nYYkb1BYpLbyq__q08TITXUaDrxdurPUBcBpDpRsUYtHkiMuyL_A

 

 

さぁ一緒にお茶を淹れに行こうか。土方の部屋から離れようとした瞬間,背後で豪快に障子が開け放された。

 

 

「お!?

 

 

襟を掴まれたと思ったら,そのまま後ろに引きずられ,橘に握られた手もするりと離れてしまった。

 

 

「男と茶飲ます為に放り出したんじゃねぇよ。」

 

 

その誰かさんは部屋の隅に三津を投げ捨て,動くなと睨みつけると書物と向き合う。

 

 

「はーい。」

 

 

ふてぶてしい返事を返して三津は繕い物に取りかかった。

 

 

『初めからそうやってろ。』

 

 

煩くて放り出したけど,最近はふらっと姿を消してしまう事がよくある。

聞けば橘とつるんでるとの目撃情報が多数あり,現に土方も縁側で談笑する二人の姿を見かけた事がある。

 

 

そしてさっきも三津の所に橘は現れた。

別に三津が誰とつるんでようが知ったことじゃない。

じゃないのに苛々してしまう。

 

 

「最近やけに橘と仲がいいじゃねぇか?」

 

 

「よく話しかけてくれるんですよ。男の人やのに細かい事によう気が付きはるし。」

 

 

三津は目を細めて動かす針の行方を見ていた。

ニコニコしながら他の男の褒め言葉を聞くのはこんなに気分を害するものなのか。

 

 

土方はかっと胸の奥が熱くなるのを感じていた。

心は全く穏やかじゃない。

 

 

どんな話しをするんだよと言いかけて言葉を飲み込む。

本当は気になって仕方がないクセに。

 

 

『これじゃまるで嫉妬じゃねぇか。』橘は廊下に突っ立ったまま三津が引きずり込まれた部屋を眺めていた。

 

 

「橘くん?土方くんに何か用かい?」

 

 

「山南副長。いえ,お三津さんが凄い険相の土方副長に引きずり込まれていったので。

大丈夫かなと少々気になってしまったんです。」

 

 

ただそれだけですよと笑みを浮かべて会釈をし,廊下の奥へ姿を消した。

 

 

「彼,最近ずっと三津さんにつきまとってるんです。」

 

 

どっから現れたのか。いつから居たのか。

膨れっ面で山南の背中にのしかかったのは総司。

山南の肩に顎を乗せ,じとっとした視線は橘の消えた廊下の奥へ。

 

 

「つきまとうとは言い過ぎじゃないか?お三津ちゃんにだって気の合う隊士の一人や二人はいるだろう。」

 

 

山南は呆れた笑みで,ヤキモチ焼きな末っ子の頭を撫でてやった。

 

 

『気の合う隊士が一人や二人?』

 

 

その言葉により渋い顔した。

そんな相手がいちゃ困るんだ。ただでさえ土方が独占して話す時間が減ったと言うのに。

 

 

三津を斎藤に貸してから土方が片時も三津を離さなくなった気がする。

 

 

女中の仕事が落ち着く時間帯を狙って来るとあの橘がいるのだ。

 

 

「あ,甘えん坊がおる!」

 

 

聞きたくて仕方なかった三津の声がして振り向けば,

 

 

「人の部屋の前で何してやがる。男同士で気持ち悪い……。」

 

 

待ち焦がれた三津の笑顔とは程遠いしかめっ面と目が合った。三津はその後ろからひょっこりと顔を出した。

 

 

「山南さん,そのまま背負ってどっかに捨てに行っちまえ。

三津行くぞ。」

 

 

土方は虫唾が走ると両腕をさすりながら大袈裟に二人を避けた。

 

 

「お出掛けですか?」

 

 

「ちょっとした野暮用だ。」

 

 

総司に構ってちゃろくな事がない。

土方は三津を連れてさっさと通り過ぎた。

 

 

三津はじゃあねと総司に手を振って土方の後ろをひょこひょこついて歩いた。

 

 

「山南さん……あれも気の合う人の一人に入る?」

 

 

むくれる総司に山南はさぁねと苦笑いを浮かべて頭を掻いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三津はうきうき上機嫌で土方の横を歩いていると突如として拳骨を見舞われた。

 

 

「痛いっ!」

 

 

「俺と肩並べて歩いてんじゃねぇよ。三津の分際で。」

 

 

後ろを歩けと顎で指す。

それからある程度離れろと鬱陶しそうな目で見る。

 

 

 

三津は頭のてっぺんをさすりながら渋々土方の後方,三歩後ろに下がった。

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