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解散した足で入江は三津を探した

解散した足で入江は三津を探した。三津は仮自室で縫い物をしていた。

 

 

「三津さん。」

 

 

少しだけ開けた障子の隙間から顔半分を覗かせた。

 

 

「あ!あのさっきは……!」

 

 

三津は悲しげに顔を歪めて慌てて立ち上がった。

入江は微笑んで首を横に振りながら部屋に入ると静かに戸を閉めた。

 

 

「いいえ。軽々しい口を叩いたのは私です。すみません。」 https://carinacyril786.pixnet.net/blog/post/142250980 http://carinacyril786.e-monsite.com/blog/--10.html https://www.evernote.com/shard/s729/sh/44521981-22e9-36de-cd7c-7ebade4b9b6e/Y6jXpvGJyAy2UYxlUCnWtJBbrEK-7etNB3OxHoLE8IP9X-a1EMt4-xn46g

 

 

入江はごく自然にそのまま三津を抱き締めた。

 

 

「それを謝りたかったのと,あと一つ。

確かに人の命に永久などないでしょう。ですが三津さんは命ある限り彼を忘れないのでしょう?」

 

 

「忘れませんよ……。」

 

 

「その想いは……永久ですよね?」

 

 

三津はぱっと顔を上げた。優しい笑みが降り注ぐ。

 

 

「三津さんの想いは永久です。」三津は入江を見上げてぽろぽろ涙を溢した。

 

 

「すみません,泣かせるつもりは。」

 

 

入江は困惑の表情を浮かべた。そう言うと懐から手拭いを取り出して三津の涙に押し当てた。

 

 

「ごめんなさい。私……。」

 

 

「何も言わなくていいです。泣きたくないならくすぐりましょうか?」

 

 

……遠慮します。」

 

 

三津はぐっと入江の胸を押した。入江は冗談だと笑って背中に回していた手を解いた。

それから何も言わずに頭を撫でて部屋を出た。

抜け駆けしたい気持ちはぐっと堪えた。

 

 

三津はその場にすとんと座り込みまた針を動かした。

だけど涙で全然見えなくて何度も指を刺した。

 

 

ひとしきり泣いて障子を開けたらお盆の上にお茶と落雁が置いてあった。お茶は入江,落雁は乃美からだろうと思った。

 

 

『また泣かせようとして……。』

 

 

顔は笑みを浮かべるも目からは涙が溢れてくる。

しっかりと噛みしめる。私は幸せ者だ。

盆を持ってまた部屋に閉じこもった。

 

 

『この落雁いつも思うけど美味しいなぁ。』

 

 

今度何処で仕入れるのか聞いておこう。

これだけしてもらってめそめそ泣きっぱなしな訳にはいかない。

 

 

仕事をしよう。そう思ってお盆を手に台所へ行った。

 

 

「あっ三津さんちょうど良かった!これ手伝ってほしいの。」

 

 

そう言ってサヤが仕事を振ってくれた。アヤメは乃美から初めてお菓子を貰ったと三津がいつも貰う落雁と同じ物を大事そうに手のひらに乗せて眺めていた。

 

 

『乃美さんここに来たんや。』

 

 

乃美のような役職の者がここまでわざわざ足を運ぶなんて。

何か相応のお礼をしなければと考えた。

 

 

 

 

 

「乃美さんって何が好物か知ってます?」

 

 

帰宅後桂の晩酌に付き合うついでに問いかけた。

 

 

「好物?何でまた。」

 

 

「いつも落雁戴くので何かお返しをと。でも乃美さんの好み分からへんから。」

 

 

困ってるんですと口をへの字に曲げた。

 

 

「乃美さんが好きでやってるんだから甘えてたら?」

 

 

乃美も見返りなど求めてないよとからから笑う。

 

 

「贈り物が出来へんのやったら肩揉んであげたり按摩ですかねぇ。乃美さんいつも書き仕事してはるし。」

 

 

「ぐふっ!」

 

 

按摩と聞いた瞬間に色男から発せられたとは思えない音が飛び出した。

噴き出した酒で濡れた形のいい唇を手の甲で拭った。唇に人差し指を当てどうしましょうと思案するこの娘は一体何を考えているんだ。

 

 

「按摩は駄目。私にもそんな事してくれないのに。」

 

 

それなのに他の男には触るというのか。断じて許さん。

 

 

「えっして欲しいんですか?」

 

 

何だ早く言ってよといった目を桂に向けた。そう言われて桂は笑顔で不機嫌になる。

 

 

「三津には沢山触れてもらいたいに決まってるだろう。なのに余所の男にまでベタベタ触れるなんて許せると思う?」

 

 

艷やかな笑みを浮かべて指先で頬を撫でてそのまま猫を可愛がるように顎の下も撫でる。

言うまでもなく三津の顔は引き攣った。

 

 

「私も肩や腰が痛い。按摩頼めるかな?」

 

 

これも歳かねぇと苦笑した。引き攣っていた表情は緩んで喜んでと返してくれた。

 

 

寝る支度を整えて桂はうつ伏せに寝転んだ。その肩から腰にかけて三津は入念に按摩を施した。甘味屋で功助にもしていたのを思い出した。

 

 

『おじちゃん元気かなぁ腰痛めてないかなぁ。』

 

 

桂が歳なら功助はどうなるんだと笑いが込み上げて来る。

 

 

 

「小五郎さん痛くないですか?」

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