自分を嘲笑って膝に顔を埋めた。それでも新平にしか抱かなかった安心感があったのも事実だ。 「他に何か溜め込んでない?お前変に忍耐あるから今回のだけでこうなんったんじゃないだろ?あるなら吐き出せ。 それに限界迎える前に吐き出せよ。俺じゃ相談相手にもならないか?」 相談相手と言われて三津が真っ先に思い浮かべたのは入江だった。あれは相談相手に入れていいのだろうか。 いや,今はそれは置いといて。お花見の件で入江に言われた事を言うべきかどうか悩んだ。 http://johnsmith.e-monsite.com/blog/--4.html https://www.evernote.com/shard/s514/sh/d153656b-aa9f-a98d-0503-2b50867ad17d/Szt5Aw67PKbpP5-drgXzuBufGkV2yKBNf5J_gCfk5SDCWfmhbiWZ2wkq0g https://blog.udn.com/79ce0388/180359419『吉田さんに相談するのも余計な事になるんやろか?』 そもそも二人の距離を縮めようと企てた花見なのに本人から余計な事をしてくれるなと釘を刺されたと公言すれば白けやしないか? 三津が一人で思い悩んでいると吉田の匂いに包まれていた。着物越しにじんわりと温もりが伝ってきた。三津は心の中でまた油断したと呟きつつ吉田の体温が高くて温かいなぁなんて呑気に思った。 ただ新平の前で想ってる相手と違う男に抱きしめられてるのは如何なものか。 新平がいなくなって浮気性な軽い女になったなと思われたくない。 「俺じゃ新ちゃんの代わりになれないか?」 耳元でぽつりと呟かれた。 「新ちゃんになれないのは分かってる。でも代わりにはなれないか。紛い物でいい。それでもお前が俺の方に向いてくれるならそうなりたい。」 『何でこう次から次へと……。』 悩みの種を増やしてくれるんだろう。まぁそのお陰でサヤへの嫉妬心は吹っ飛んだけど,花見の時の立ち位置に次いで今度は新平の身代わり? あぁ頭が痛い……。 何をふざけた事を……と思ったがそれは吉田の思いを蔑ろにしてるなと考え直した。 「相談相手がいないんやなくて……相談の仕方が分からへんのやと思います……私。」 何をどう伝えればいいのか考えてるうちに相談するのが面倒になってる気がする。 そもそも相談する程の事だっけ?と思ってそこで途切れるんだ。 「でも新ちゃんには相談出来てた。」 「そうですね。」 「同じように俺や桂さんに出来ないのは何故?」 「そう……ですね……。」 何故と言われてその理由を考えてみる。答えは簡単。 『悩みの種本人に相談は出来へんよね。』 出来れば当人達には聞かれたくはないもんだ。 「俺らがどう足掻いて新ちゃん以上にはなれないんだろ?」 「いやそう言う事じゃなくて……。」 本人に悩みの種には相談出来ませんときっぱり言わなければならないのか?それはそれで失礼だと思うから言えない。 「最近桂さんと一緒に居て疲れることばっかりだろ?俺が安らげるように努力するから。」 『吉田さん変わったなぁ。』 真っ直ぐで押しが強いのは変わらないが丸くなった。上から目線だけど前程の強制はしなくなったように思う。 吉田がどうしたいではなく,三津がどうしたいかをちゃんと考えてくれている。 「とりあえず今はみんなでお花見楽しみたいです。ちゃんと前向いて楽しくやってるところ新ちゃんに見せないと……。」 「迎えに来そうだな。流石にまだあっちに逝かせたくない。」 「新ちゃんを死神みたいに言うのやめて?」 聞き捨てならんと身を剝して吉田をじっとり睨んだ。吉田は喉を鳴らして笑った。そして三津を抱きしめていた腕を解いて木に手のひらを当てた。 「新ちゃん,三津を俺にくれない?間違いなく桂さんよりは幸せに出来ると思うよ。」 自信に満ちた目で木を見上げるその顔を三津はぼーっと眺めた。 「新ちゃん何て言ってます?」 「分かった三津を頼むって。」 「ふはっ!何言ってるんですか。吉田さんそんな冗談言う人やった?」 思わず吹き出した。三津が笑ったのを見て吉田は目を細めた。 「冗談じゃないよ新ちゃんがそう言ってるんだ。お前も聞いてみろよ。」 吉田は三津にも木に手を当てるように促した。三津は仕方ないなとゆっくり木に触れた。 新平なら今の自分にどんな言葉をかけてくれるだろうと思いながら目を閉じた。 「……何て言ってる?」 「……幸せになれって。」 きっと新平ならそう言ってくれる。肩を並べ,照れて目も合わせず,真っ直ぐ前を見てそう言うんだ。