土方が身を引いて自由になったのに三津の体は思うように動かなかった。腰が抜けたとはまた違うがガクガクと震えて情けないくらい力が入らなかった。
「……ん。」
少し不服そうな顔で土方は手を差し伸べて上手く力が入らない体を引っ張り起こした。
「お前の中にこうやって恐怖心だけ残しちまったのが気に食わなかった。お前と向き合って話して謝ればちったぁ気が晴れるかと思ったが……。」
そうはいかなかった。土方は溜息をついて遠くを見た。https://www.easycorp.com.hk/blog/complete-guide-company-incorporation-in-hong-kong/
「気に食わないって何ですか……こっちの身にもなって下さいよ……。
蔵の中も暗闇の河原もホンマに怖かったっ!酷い事してるのに好きやなんて訳分からん事言うし,土方さんが何考えてるか分かってあげたくても何がホンマか分からん!分かったところでどうにも出来んしっ!」
どこまで勝手な人なんだ。それが腹立たしかったのか植え付けられた恐怖からか涙が出てきた。それを必死に拭っていると手首を掴まれあっという間に土方の腕の中にいた。
「一応俺の気持ち理解しようとはしたのか?頭空っぽの癖に。」
抱き留める腕に力がこもった。空っぽじゃないと胸を押し返してくるのを押さえつけて閉じ込めた。
「しましたよっ!全っ然土方さんらしくなかったしよく分からんけど思い詰めた目してはったしあの時言うてたのがホンマなんやったら先に傷つけたのは私やし……。」
「……お前馬鹿だな。」
もっと被害者面すればいいものをこっちの心配するとはとんだ大馬鹿だと土方の表情が緩む。
「今後に及んでまだ言います?その馬鹿に好きや何や言うて組み敷いたの何処の誰ですか?ホンマにようその面下げて来れましたよね。」
「その口塞いでやろうか?ん?」
前よりもずけずけ言うようになってるじゃないか。顎を掴んで上を向かせると三津は流石にまずいと思ったのか目を泳がせてすみませんと謝った。
「許さん。」
土方は貪るように三津の唇に食らいついた。息もさせないくらいにしゃぶりついて舌を絡めた。
「んっ……あっ……」
時折漏れる三津の声に煽られて夢中で貪った。名残惜しくも唇を離してから改めて三津を見ると赤らんだ顔で気まずそうに目を逸らした。
「今日はこれくらいで勘弁してやる。続きは長州ぶっ潰した後に存分にしてやるからな。」
「ホンマにそんな事したら嫌いになります……。」
ツンとそっぽを向いた顔を無理やり向き合わせて土方は口角を上げた。「そうなったらお前に拒否権はねぇんだよ。
それにちゃんと抱かれたらお前の方から抱いてくれって泣いて縋るようになるからな。」
「は?今までホイホイついて来た女の人らと一緒にせんとってください。」
「お前本当に口悪くなったな。」
やっぱり雰囲気ぶち壊しやがると舌打ちをした。その雰囲気をぶち壊す為に家の戸が激しく音を立てて開けられた。そしてすぐ様二人のいる部屋の障子も勢い良く開かれた。
「どうも聞き覚えのある声がするなと思ったんですよ!土方さん一体何してるんですか!貴方は三津さんに接触禁止ですよ!何しでかすか分からないっ!」
怒鳴り込んで来たのは総司だった。
「すまん歳バレた。」
その後ろから悪い悪いと笑いながら軽く謝る近藤が顔を出した。
「近藤さんも近藤さんですよ!何で許したんですか!」
凄い剣幕の総司を斎藤とサヤがまぁまぁと宥める変な構図がそこにはあった。
『サヤさん馴染んでるなぁ。』
三津は他人事みたいに傍観していた。土方は面倒臭そうに後頭部を掻きむしる。
「三津さん!変な事されてませんか!?」
「はひ!?」
大声で詰め寄られて声が裏返った。
「変な事……。」
ちらりと土方を見れば目が合った。そしてにやりと片口を上げた。
「ない!されてない!大丈夫!」
何にもない。何にもなかった。自分にも言い聞かすように何度も繰り返した。その側で面倒臭そうな態度を変えずに欠伸までしてる土方にイラッときた。
「変な事はされてへんけど素直に前の事謝りはったから槍降るか天変地異起きるかもしれへん。」
「漸く自分の過ちを認めたんですね。それはいい事です。ただこの世を滅ぼす可能性があるのはいただけない。」
「言いたい放題言いやがるなクソガキ共が。」
「クソガキ……ふーん,そんな事言わはるんや。」
三津はじっとりした目でそのクソガキに惚れて嫉妬に狂ったのは何処の誰ですかね?と訴えた。それがしっかり伝わったのか土方は小さく舌打ちをした。
『なんだかんだ言って仲悪くはないんだよな。副長と三津は。』
斎藤が嫉妬混じりに三人を見ているとサヤがスッと前に出た。
「皆さんがお三津ちゃんを慕ってるのはよぉーく分かりましたけど,そろそろ帰してもらっていいですかね?」
ここで切り出せるサヤは本当に肝が座ってる。