おうのは高杉に不貞腐れたような顔を見せてから三津の方へ向いて頭を下げた。 「すみません……。不快な思いを……。」 「いやいや!おうのさんが謝る事やないですっ!」 三津は焦りに焦って顔を上げてくれとおうのの隣りに行ってお願いした。二人になる事を提案した側だから,こっちの方がなんかすみません状態だ。 「晋作,おうのさんに頭下げさせて恥ずかしくないんか。」 入江はお前が謝れと頭を鷲掴みにして畳に押し付けようとした。 「いでででっ!すまんっ!https://plaza.rakuten.co.jp/mathewanderson/diary/202404270000/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/6d435dd064a8bb9b8f00f4f739d66892 https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/04/28/044102 三津さんすまんっ!」 「いいですよ。私よりおうのさんに謝って下さい。そしたら小五郎さんには黙っておきます。」 「おうのすまん。」 桂の名を出されて高杉はすぐさまおうのに向かって頭を下げた。桂に知られたら間違いなく命はないと悟った。 「そしたら高杉さん,私らはもう行きますね。おうのさんの機嫌直してあげて下さい。」 「おう,そのうちそっちに出向く。三津さんありがとう。」 高杉はスッキリしたと歯を見せて笑った。三津も満足げに笑みを浮かべて頷いた。 「高杉無理すんなよ。」 「あ?病人扱いすんな。」 「あ?病人やろが。」 山縣は気を遣って言葉を掛けたのに噛み付かれてイラッときた。高杉も高杉で喧嘩買うぞと言わんばかりに一触即発な空気になったので,入江と三津が山縣を引きずって家を出た。 「んで三津さんどう説得したん?」 山縣はよくあいつが素直になったなと不思議そうだった。 「説得はしてないです。だって聞かないもん。だから高杉さん自身に自分と向き合ってもらいました。」 「ごめん。意味わからん。」 山縣の即答に入江はふっと鼻で笑った。さっきの苛々が消化不良の山縣は鼻で笑われた事に更に苛立ちを顕にした。おい,やんのかと入江にも突っかかる。 「何となくは分かる。有朋は……そうや説教やったな。私は諭された。晋作には問い掛けたんやな?」 入江が本当に器用な子だと笑みを浮かべた。山縣はまだ何の事か分かっちゃいなかった。 「言いたい事は色々あったんで我慢するの結構大変でしたけどねー。」 三津も言う時はハッキリと言う性格だ。本当は喝を入れたいぐらいだったが喧嘩してへそを曲げられるとより面倒だと思っていた。 「嫁ちゃん言いたい事言い出したらきり無さそうやしな。」 「それって小言が煩いって事?」 それは心外だと頬を膨らませた。 「何やろな,過保護なお母みたいな……。嫁ちゃんとうとう俺らの親の域に達したんか!」 「山縣さんみたいな子供いらない。」三津の即答に入江は盛大に吹き出して腹を抱えて笑った。 「いらん!確かにいらん!有朋みたいな子供いらん!」 「おい,全否定で心抉るな。俺だって入江が親父なんは願い下げじゃ。」 だが三津に“いらん”と言われるのは結構傷付くのだ。 「あぁ……ごめんなさい……。山縣さんを否定したんやなくて,この歳でこんな立派な息子はいらんなって意味で……。でもよくよく考えたら山縣さんが息子なのはちょっと……。」 「おい,結局最後心抉っとる!」 「お前ってそんなもんよ。」 入江が諭すように真面目な顔で山縣の肩をぽんと叩いた。 「そんなもんってなんや!クソっ!帰って勝負せい!勝負!!」 「受けて立つわ。かかって来いや。」 入江はにんまり笑って腕が鳴るわぁと肩をぐるぐる回した。 「後悔させちゃる!!」 山縣も泣きを見るのはお前だぞと入江の顔に向けてビシッと指を差した。 それから二人は言い合いをしながら,ずんずん先を行った。 「待ってー。歩く問題児置いてかんとってー。面倒事起こりますよー?」 男って何で急に周りが見えなくなるのかなと思いながら三津は二人の後ろをついて歩いた。 それから数日して高杉は宣言通り屯所に現れた。 話があるとみんなを広間に集めて,その正面にどんと構えた。 そして今の自分の病状を包み隠さず打ち明けた。