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「変な話ですけど三津さん居るのが救いですね……。」

「変な話ですけど三津さん居るのが救いですね……。」 「そうやな……。」 今までに何人もの同志を失い,友を一人…二人…と失い,そしてまた消えゆく命が目の前にある。 まだ二人には受け止めきれない想いがある。見たくない現実が待ってる。 それでも変にどこか落ち着いてられるのは,その存在のお陰なのかもしれない。 「何でも背負わせ過ぎとるな,私らは。」 「結局甘えてしまってますね。三津さんも苦しい部分はあるだろうに……。」 「そうやな……。出来るだけ三津の心にも負担かけ過ぎんように気を付けんとな。」 高杉の病の名を聞いて誰もが動揺し,https://plaza.rakuten.co.jp/carinacyril786/diary/202404270000/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/b9f1d690b781b8c7f076a58ee3825a53 https://ameblo.jp/carinacyril786/entry-12850001301.html   その行く末を覚悟せざるを得ないから今こうなってる訳で,奇跡でも起きて病が治れば全て丸く収まるのにと入江は思った。 そして思い出した。 「あの先生……。」 「ん?何ですか?」 入江が思い出したんだと縫合の痕が残る辺りを擦った。 「私のここを治療してくれた先生。あの先生なら労咳だろうが治してくれる気がしてな。」 「あぁ。白石さんも言ってましたもんね。かなり腕のいい医者かもしれないって。」 「そう,まだ京におるんやろか。」 ちょっと変わった先生だったと入江は当時の記憶を引っ張り出した。せっかく救ってもらったのに,お礼もせずに逃げ出す事になった。 『元気にやっとってくれたらええな。』 それから高杉の体はどんどん労咳に蝕まれていった。 出歩く事もせず,ずっと家の床に居る日が続いた。だが,ただ大人しくしているのではないと言う。 この日はおうのが一人で屯所に来ていた。連日の看病で疲れてるだろうからと息抜きの時間をもらったと言う。 「野村望東尼さん?」 「はい,高杉様が命を狙われて逃げてあっちの海を渡った際に匿ってくださった方で。その恩もあってこの度島流しにされていた野村様を高杉様が助けて,そのお礼にと今一緒に看病を。」 「待って島流しって何したの?」 「望東尼さんは女性の歌人さんでね。旦那さんが亡くなって出家されてる。元々熱心な勤王党の方で勤王党弾圧の時にはうちでも匿ってたんだよ。」 「白石さん居てたんですね。」 「うん,とうとう三津さんからの扱いもそうなりだしたんだね。」 白石はあまりの存在感の薄さに胸が痛いよと両手で左胸を押さえた。 それを見て入江と山縣はゲラゲラ笑った。 「高杉様の病状は良くありませんが,野村様と歌を詠んで楽しんでらっしゃいます。」 「へぇ……高杉さんが歌を。」 「三津は知らん?晋作は三味線も弾く。」 「全っ然知らない。」こんな時に高杉の意外な一面を知る事となるとは。 「私,お前より俺の方が上手いぞっていつも言われてました。」 おうのは当時を思い出してほんのり頬を赤くしながら微笑んだ。 『歌詠んで三味線弾いて……。人は見かけによらない……。』 高杉の風流な様が想像できなくて,三津が気になるとそわそわし,表情にも表したから山縣が喉を鳴らして口角を上げた。 「嫁ちゃんが頼めば弾くやろあいつ。」 「見返りに身体求めそうやけどな。」 すかさず入った入江の一言に三津とおうのが分かりやすく目元を引き攣らせた。 「おうのさん大丈夫,頼まない。」 「いえ,その時は無礼の無いように見張ってますから。それに私が久しぶりに高杉様の奏でる音色を聴きたくなりました。」 そう言って微笑むおうのは恋する乙女の顔で,その愛らしい顔を見て三津も微笑んだ。 「よし,それなら今から行って弾かせようや。」 山縣がぽんっと膝を叩いて早急に行こうと言ったが白石に止められた。 「急に押しかけて迷惑でしょうが。今日はおうのさんをゆっくりさせてあげる日なんでしょうが。」 「白石さんおったんか。」 「居たね,何ならさっき三津さんの発言で居る事確認したよね。」 白石は解せぬと真顔で山縣に詰め寄った。その時おうのが声を出して笑った。

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