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雅は三津と違って表情一つ変えず冷

雅は三津と違って表情一つ変えず冷静そのものだった。繋がれた手の先に居る少年は物珍しそうにきょろきょろ黒目を動かしていた。 「初めまして、高杉の妻の雅と申します。あの,おうのさんはこちらに来られてますか。」 三津はそれを聞いて気が遠くなりそうだった。わざわざ愛人に会いに出向いたのだ。きっと今から修羅場だ。 『どうしよう……。おうのさんどうするんやろ……。』 三津が自分はどんな立ち位置でこの事を見てればいいんだと変な汗をだらだら掻いていると, 「来とりますよ。どうぞ〜。」 入江は全く動じることも無く至って普段通りの感じで雅と息子,https://carinacyril786.e-monsite.com/blog/--12.html https://www.evernote.com/shard/s729/sh/4f919ec3-3cce-6f7f-4875-eb2dbf66f5fe/qZVr6GXIWzuR-0EQN2A5HJa5GoibtDhHbfaG3wAy-tnoHFSbIK6z_zVt8g https://blog.udn.com/29339bfd/180552870   梅の進に笑顔を向ける。 『えっ!?普通!?』 これから本妻と愛人の修羅場かもしれないのに何故そんなに平然としてられるのか。三津がぎょっとしていると今度はセツも, 「お茶お持ちしますんでお部屋でお待ちくださいね〜。」 『こっちも普通!?』 これまたいつも通りににこやかに対応して台所へ消えて行った。 入江はこの場で一人,冷や汗を掻き,変な動悸に見舞われてる三津をくすりと笑った。 「三津,セツさん手伝っちゃり。雅さんこちらへどうぞ。」 入江は三津の背中をぽんと押して,玄関に立ちっぱなしの二人を中へ招き入れた。 三津は無言で何度も首を立てに振り,そそくさと台所へ逃げ込んだ。 「セツさん,おうのさん大丈夫でしょうか……。」 「雅さんが冷静やけぇ大丈夫やと思うけどね。多分子供の前で取り乱したり不安にさせるような真似はせん人よ。」 「あっ……。」 『そうか……。息子さんの前やから余計に……。』 やけに冷静なのは子供の前だからだ。三津は何も分からない状態で手を握られていた梅の進の顔を目に浮かべた。 もとより冷静な性格なのかもしれないが,それでも夫の病状を知り,その側に愛人が居ようと取り乱さずにいられたのは,子供がいるからなのだと三津は納得だった。 『お母さんは強いんだな……。』 自分の事より子供の事を考えてるんだ。当人が平常心を保とうとしているのに外野の自分が動揺してどうする。三津は恥ずかしいやら情けないやらで肩を落とした。 それでも今の状況は三津にとっては緊迫感満載で表情を強張らせたまま,雅とおうのが対峙してるであろう客間へ向かった。 部屋に近付くにつれて三津の心臓は破裂しそうなぐらいバクバク派手に脈打っていたのだが,部屋からは笑い声が聞こえてくる。 『ん?笑ってる?何で?』 和解でもしたのか。それにしても和やか過ぎないかと不思議に思いながら客間に踏み込んだ。セツが普段通りの気さくな感じでお茶お持ちしましたよ〜と部屋に入り,三津はその背後から中の様子を窺った。 「ほんっとに嫁ちゃんは嫁ちゃんなんやな。」 「山縣さん,それはどう言う意味です?」 梅の進の遊び相手をしながら真顔で言葉を浴びせてくる山縣に眉根を寄せた。 すると口元を手で隠しながら笑っていた雅がキリッと表情を引き締めて三津と向かい合った。 「京でのお屋敷並びにこちらでの主人の愚行をお詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした。」 綺麗な所作で頭を下げられた三津はとんでもないと同じように畳に伏せた。 「いえ,木戸様との仲を知りながら子を産めと迫るなど言語道断。いっそ頭突きで頭をかち割って下されば……。」 「その節は大変申し訳ございませんでした……。」 状況が状況だったとは言え,結婚してたと知らなかったとは言え,人様の旦那にとんでもない事を仕出かしたのを詫た。 それに雅のような美人から頭をかち割るなど物騒な言葉が飛び出すと恐怖が倍増する。 そして気付いた。部屋から聞こえてきた笑い声は自分の事で笑っていたのだなと。 この私のあれやこれやを話せる人物はこの場でただ一人。

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