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三津にとって今でも理想の夫婦なのだ

三津にとって今でも理想の夫婦なのだ。文に贈り物をと共に出掛けた時を思い出す。あの時の久坂は文だけを頭に浮かべて文だけを想っていた。

そして今も久坂の妻である事を誇りに思ってる文の愛が三津には尊敬に値する。

 

 

ただもし桂と文が結婚していたら,文はあの男をどう扱ったんだろうかとも思う。

 

 

「玄瑞と結婚出来たんは俺のお陰やからもっと敬ってもええのにな文の奴。」

 

 

「積年の恨みはそんな簡単に晴れないですよ。ね?」

 

 

三津に話を振られた入江はもう思い出させないでと項垂れた。そこで高杉はあ!っと声を上げた。

 

 

「九一!俺はお前に裏切られた事忘れちょらんからな!!」

 

 

「は?何の話や。」

 

 

「酒の一件はお前も加担しとる癖に先生に俺を売ったやろが!!」 https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202404270001/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/0c10021efeec3f45c5359607273c9b1a https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/04/28/050441

 

 

そう言えば側で囃し立てたのはこの男だったなと三津は白い目を向けた。

 

 

「知らん。私は何もしちょらん。ただ先生に主犯は誰やって聞かれたけんお前やって言っただけや。」

 

 

「共犯!お前共犯!!」

 

 

「は?私は文ちゃん襲いたいと思ったこと微塵も無い。勝手に脱いで文ちゃんに迫ったのお前で私は巻き込まれた。そう,巻き込まれた。」

 

 

先生もそれを信じてくれたのだから後はお前の信用問題だと冷たく言い放った。

その時ずっと押し黙っていたおうのがゆらりと立ち上がり入江の前に立った。

 

 

「おうのさん?」

 

 

「入江様,過去の事ではありますが少々腹が立ちましたのでその脇差お貸しいただけません?」

 

 

おうのの発言に高杉は凍りついた。「まっ待ておうの!今はお前だけの俺やろ!?な!?な!?」

 

 

必死すぎる高杉の表情を入江と山縣は哀れだなと笑った。だが,おうのにとっては笑える要素は一つもない。

 

 

「おうのさん,思ってる事ははっきり伝えていいと思いますよ。」

 

 

三津が声をかけると,おうのは唇を噛み締めながらへの字に曲げて頷いた。そして高杉の前にすとんと正座した。

 

 

「私は妾の分際です。だから自分の気持ちを表に出すのはおこがましいと思ってました。ですが……言わせていただきます。」

 

 

おうのがこうして面と向かって物申すのは初めてなのか,高杉も真剣な顔で言ってみろと姿勢を正した。

 

 

「私は高杉様を心よりお慕いしております。この気持ちは誰よりも強く深いと思っております。なので……私以外に高杉様の愛情が向いてしまうと嫉妬します。そこに愛情が無くとも誰かに触れる,楽しそうにしてる姿を見るのも嫉妬します。」

 

 

おうのは声を震わせながら言葉を紡いだ。それを高杉は黙って受け止める。

 

 

「こんな事言いたくはありません……。ですが……ですが……最期だけは,私だけを見ていただけませんでしょうか?私だけを女として……。」

 

 

そう言いながら,はらはらと涙を流した。

 

 

「奥様やご子息を差し置いて傍に居ながら,もっと愛情を寄越せなど貪欲にも程があるとは分かっておりますっ!

でもっでも……。」

 

 

「もういいおうの……。悪かった。もう泣くな……。こんな俺について来てくれて感謝しちょる。妻にしてやれんですまん。」

 

 

高杉は両手で顔を覆って泣きじゃくるおうのを引き寄せて腕の中に閉じ込めた。

おうのは腕の中で何度も首を横に振った。

 

 

「妻にして欲しいと思った事はありませんっ……!こうして傍で,互いに想い合えるならそれで充分なんです。一つだけわがままを聞いてもらえるなら,私だけを見て欲しいです……。高杉様の唯一無二になりたいです……。」

 

 

「おうのさん……。」

 

 

みっともないと分かっているが止められないものは止められない。三津の方が号泣していた。必死に嗚咽を堪えながらの大号泣。

 

 

「何で嫁ちゃんのが泣くそっちゃ……。」

 

 

山縣が優しく落ち着け落ち着けと背中を擦った。

それだけ三津も痛い想いをしてきたのだと思うと入江は胸が痛くてかける言葉がない。

 

 

「おうの,安心せいや。もう俺にはお前だけや。やけん最期の最期までついて来い。見てみぃ。お前しか映っとらんやろが。」

 

 

高杉はおうのの顔を両手で挟んでぐっと顔を寄せた。

 

おうのは涙で揺れてはっきりしない視界の中で,高杉の目の中に居る自分を見た。

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