今信長が好んで使っているという、例の鉄砲の稽古であった。 濃姫はお菜津の案内で近道を通り、何とか鷹狩り場まで信長を追いかけて来たが、 ここでも彼女は信長という男に驚かされた。 遠くに幾つもの的(まと)を立てて、信長はそれらを次々と撃ち抜いてゆくのだが、そのスピードが大変早いのである。 『 信じられぬ…。撃つまでに時間のかかる鉄砲を、どうしてあんなに早く !?』 【生髮維他命】維他命補充品真的有助改善脫髮嗎? @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 :: 草木の陰に隠れていた濃姫は、気になって少しずつ前へ前へと、信長らに近付いて行った。 「ひ、姫様っ!見付かりまするぞ!…姫様!」 三保野は小声で叫んだが、聞く濃姫ではない。 姫は身を隠しつつ、何とか信長たちをはっきり見渡せる位置まで進むと、そっと彼らの様子を窺った。 「勝、遅いぞ!次じゃ次!」 「は、はい!只今!」 よく見ると、信長の背後に勝三郎ら小姓たちが控えて、いそいそと鉄砲に弾を詰めていた。 小姓たちが鉄砲の支度をし、それを信長が撃ってゆく。 なるほど、これならば時間をかけずに次から次へと撃つことが可能である。 濃姫が思わず感心して見ていると 「よし!…勝、急ぎ撃ち抜いた的を片付け、新たな的を立てよ!」 「はっ、承知致しました」 「他の者共は二列に並び、残りの鉄砲を構えよ!」 信長は竹千代や小姓たちを二組に別けて並ばせると、鉄砲をそれぞれ一本ずつ手渡していった。 既に何度かやっている事なのか、先頭の竹千代らは素早く鉄砲に鉛弾や火薬を詰めると、真っ直ぐにそれを構えた。 やがて勝三郎が新たな的を立て終えると 「よーし!……撃てーっ!!」 信長の合図と共に引き金がひかれた。 パンツ! パンッ! と勢いのある発泡音が大空に轟く。 そのあまりの大きさに濃姫も思わず自分の耳を塞いだ。 「よし!次ーっ!!」 撃ち終えた竹千代らは列の最後尾に付き、次の先頭が同じように的を撃ってゆく。 その間に竹千代らは再び弾を撃つ準備をし、撃ち終えた先頭は最後尾に付き、次の先頭に射撃を譲る。 待っている間に後尾の者は弾を詰め…と、一同はリレー形式のように次々と的を撃っていった。 『 これならば短時間で何発もの弾を撃つことが出来る──。殿…やはり只者ではない 』 最初のやり方にも驚いた濃姫だったが、こちらの方法にはもっと驚かされた。 これほど優れた才能を持つ信長が、皆には大うつけに見えていようとは…。 濃姫は、一つのことに熱中し過ぎる自分の性分を、これまで何度となく母や侍女たちに注意されて来たが、 今度ほど、このような性分に生まれて来たことに感謝したことはなかった。 おかげで、賢き夫を見た目だけで判断するような、本当のうつけにならずに済んだのである。 やはり自分の目で確かめないことには、真実など見えてこないのだと、濃姫は改めて実感させられていた。 その後 信長は、野駆けをしたり川で泳いだり、森や林で狩りをするなど、いつも通りの行動をとっていたが、 そんな、ただ遊んでいるように見える光景を目にしても、濃姫は少しも表情を歪めなかった。 これらの行動が、戦への備えだと考えれば全て納得がいくからだ。 「三保野。我が夫はそこらの大名たちよりも、随分と仕事熱心なお方のようじゃぞ」 「え…?」 「殿がなさっている毎日の野駆けは、尾張の地形調べを兼ねた馬の訓練。