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「姫君が産まれて既に幾月も経っ

「姫君が産まれて既に幾月も経っているというのに、何ということじゃ……、あの気紛れ屋の大うつけが!」 姫は思わず地金をむき出しにして、相手の意を代弁するように叫んだ。 その声と顔付きが、今まで上品に振る舞っていた濃姫とはまるで別人のようで、お養も、姫の乳母もぽかんとなる。 「…あ、あの…」 お養が眉をひそめると、濃姫は “あっ” と取り繕うように頬笑み、腕の中の姫君を乳母に返した。 「───ともかく、いくら殿でも我が子の名付けを忘れた挙げ句、一度しか顔を見に参っておらぬとは、余りにも非道な所業。 決して捨て置けませぬ。 この件については、今宵にも私の方から殿に申し上げ、きつく叱責しておきます故、どうぞお許しあれ」 「そんな、私は別に良いのです。それに左様な真似をしたらお方様のお立場が…」 https://open.substack.com/pub/debsyking/p/artificial-intelligence-ai?r=484w6e&utm_campaign=post&utm_medium=web&showWelcomeOnShare=true https://www.debwan.com/blogs/562468/Dystopian-futures-are-a-fascinating https://rollbol.com/blogs/1873842/Renewable-energy-sources「心配には及びませぬ。同じ御殿内に住んではおらずとも、御子とご側室方に関わることは、言わば奥向きの問題。 奥を采配するのが正室たる私の責務なれば、殿にも誰にも文句など言わせぬ。言われても跳ね返してやりまする」 「お方様──」 濃姫の満面に浮かぶ快活な笑顔に、お養はどこか救われる思いがした。 「なれど、ご無理だけはなさらないで下さいませ。…まことに勝手ながら、姫君様のことは一先ず『 冬姫 』と、屋敷ではそう呼んでおりますので」 「冬姫?」 「安易なことながら、姫君様が産まれた季節が冬にございました故」 「まぁ、それで冬姫」 濃姫は得心するなり 「…冬姫…、冬姫か……。色白な姫に似合いの美しい名じゃ」 と、感じ入ったように独りごちた。 「あえて殿には申し上げず、名は、冬姫のままで良いのではありませぬか?」 本気か冗談か分からぬ語調で姫が言うと 「そんな、飛んでもございませぬ! …やはりそこは、父君たる殿のご意思を仰がねば」 勝手な真似は出来ないと、強くかぶりを振った。 「されど、私は冬姫の名のままの方が良いように思いますよ。あの殿に名付けなどさせたら、 また、どのような可笑しげな名を付けられるか分かったものではありませぬ。 奇妙に茶筅、おなごである一の姫の名など、五つの徳と書いて、五徳と名付けるようなお方ですから」 「五徳───。何やら縁起のある、良き名のように思いますが?」 「私も最初はそう思っていたです。きっと儒教に出てくる “ 五徳 ” から名付けたのだろうと。なれど後になって恒興殿に伺うと、 たまたまお目に入った、火鉢の中の五徳を見て決めたと言うのですからね。ほんに呆れてしまいまする」 「まぁ、それは何とも殿らしい」 二人は思わずはにかみ、小さな笑い声を立てた。 するとそこへ 「失礼つかまつります───」 萌黄色の華やかな織打掛を身に纏った小作りな女が、座敷の入口の前に現れた。 「おお、参られたか。入りゃ」 濃姫が入室を許すと、女は背後に従えた侍女と共に、ゆっくりと座敷の中へ足を踏み入れた。 「遅くなりまして申し訳ございませぬ。少々仕度に手間取りまして」 「構いませぬ。さ、こちらへ」 姫の手が下座に向けられると、女は深々と一礼を垂れてから、座敷の奥へと足を進めた。 侍女を背に付けて、ゆったりと下座の空いた場所に控える女の横顔を、お養は “ 誰であろう? ” と、訝しげな表情で見つめる。

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