「──お待たせを致しました」
几帳を横に引き、医師が三保野たちの前に出て来ると
「少々微熱がしておりまするが、大事はございませぬ。呼吸もだいぶ楽になり、今は落ち着いておりまする」
思わず三人がほっと息をけるような診断を告げた。https://www.moneyformybeer.com/In-the-age-of-the-empowered-consumer https://freelancer1.bloggersdelight.dk/2024/08/16/%e2%94%80%e2%94%80%e3%81%9d%e3%81%ae%e7%bf%8c%e6%97%a5%e3%80%82/ https://realfreeweb.com/4/posts/1/1/1842642.html
「──左様にございますか。何事もなく、まずはひと安心にございまする」
古冱たちと顔を見合せながら、三保野が安堵の笑みを浮かべると
「ご懐妊の初期はかような発熱はよくあること。ご心配には及びませぬ」
「……え?」
「されど安静が第一にございます故、今の時期は無闇に外に出歩かれませぬよう、常に暖かくしてお過ごし下さいませ」
医師は事もなげに述べながら、緩やかに頭を垂れた。れながら、医師殿。今…何と仰せになられました?」
上手く聞き取れなかったとばかりに、三保野は静かに訊ね返した。
「はい。ですから、あまり外を出歩くのは控え、お部屋の中にて暖を──」
「そうではありませぬ!」
三保野は強くかぶりを振ると
「……今、ご懐妊と申されましたか…?」
期待と不安が入り混じったような表情で、恐る恐る伺った。
すると医師は「ああ─」と何かを思い出したような風情で軽く目を見張ると、その真面目顔に柔和な微笑を浮かべた。
「御意にございます。ご診察致しましたところ、お方様はご懐妊あそばされて、ちょうどに入ったところかと存じます」
「…ま、間違いないのですか!?」
「月のものが止まっておられる上、神門にもご懐妊を示す脈が強く現れておりまする。何もしていないのに呼吸に乱れが生じたのも、まさにご懐妊の兆候。
成長している胎児の為、母体は多くの空気(酸素)を取り込もうと懸命になる故、人によっては息切れを起こす場合もあるのでございます」
「…では、姫様は本当にご懐妊を!?」
「はい。おめでとうございまする」
医師が今一度 頭を下げると、三保野は明暗が定まらなかった顔の表情を、一気に明の方へ傾けた。
「三保野様。まことにおめでとう存じまする」
「新年早々にお方様のご懐妊が分かるとは、何と縁起の良いことにございましょう」
古沍とお菜津が、笑顔満面で喜びの言葉を述べていると
「…ほの……三保野、…三保野…」
絹布団に横たわる濃姫が、か細い声で自身の専属侍女を求めた。
三保野はすぐさま立ち上がり、絹布団の濃姫の側に駆け寄ると、細く美しい姫の手を力強く握り締めた。
「姫様、お喜び下さいませ。姫様はその御身に殿の御子を──」
「ああ…。話を聞いておった故、わかっておる」
小さく頷く濃姫の前で、三保野はじわりと嬉し涙を浮かべる。
「姫様、まことに…まことによろしゅうございました…。かつてのご不幸から八年。
このような日が再び参るのを、私がどれ程──どれ程心待ちにしていたことか!」
「よのう、そなたは」
「致し方ございませぬ。何せ待ちに待った姫様のご懐妊にございますもの!」
喜びに酔いしれる三保野は
「さあさあ、こうしては居られませぬ!」
と言ってパンッと自身の太股を叩くと
「さっそく殿にこのを……、いや、その前に、次の間で待機している他の侍女衆らに教えねば!」
喜びを皆々と分かち合うべく、一旦その場から離れようとした。
すると濃姫ははっと目を見張るなり「待ちゃ!」と、立ち上がろうとする三保野の手を瞬時に掴んだ。
「姫様?」
「──三保野。悪いがこのこと、他の皆には決して言うてくれるな」
「 ! …な、何を仰せになられまする!?」
「頼むから言うてくれるな。暫しの間だけ、今ここにいる者たちだけのと致したいのじゃ」
「…しかし…それは…」