「医師殿にもお願い致しまする。私の懐妊の件は、私が良いと申すまで、決して口外なされぬように。よろしいな?」 濃姫が強い口調で申し渡すと、医師は気圧されたように「しょ…承知致しました」と低く頭を下げた。 そんな医師の退出後。 三保野、古沍、お菜津は改めて濃姫の枕元に集まると 「姫様、先程のお言葉はいったいどういう意味にございますか!?」 「お方様のご懐妊の件を密事になさりたい、何か特別な理由があるのですか?」 「私共には事情をお教え下さいませ」 三人は口々に姫に訊ねた。 「此度は以前のように大きな戦は控えておりませぬし、https://www.worldranklist.com/preview/article/363215/- https://qwikad.com/1/posts/20/290/2887495.html https://classifiedonlineads.net/389/posts/1/1/3050124.html 姫様の病のことは殿や大方様、千代山様とて、既にご存じなのでございますよ?」 今更何を隠す必要があるのかと、三保野はしげに告げる。 「三保野様──畏れながら、お方様の病と申しますと?」 事情を知らない古沍が眉を寄せながら訊いてくる。 「…そ…それは、その…」 三保野は話しても良いのやらという表情で、思わず隣のお菜津に目をやった。 しかしお菜津にその判断が下せる訳もなく、二人とも押し黙ってしまう。 すると 「私の子壺は底部に窪みのある奇形でな。そのせいで御子がく母胎で成長することが難しいのです」 濃姫は自ら、己の身体のことについて古沍に語り始めた。 「懐妊の兆しはあれど、母胎にて御子が満足に育たず、流産を繰り返す危険性もあるそうなのじゃ」 「……左様にございましたか」 「無事に安定期を迎えることが出来れば、子を産める可能性も無きにしも有らずなのじゃが、それを待たず……かつて一人の御子を、天へ見送っておってのう」 苦痛に耐えるような表情で、自身の悲しい過去を語ると 「そのような事情もあって、此度ばかりは、かつての悲劇を繰り返す訳には参らぬのじゃ。私も今年で三十四。御子を身籠るのも、これが最後やも知れぬ故」 濃姫は天井に強い眼光を向けながら、覚悟を決めるように言った。 「だからと言うて、何故にまたご懐妊を隠さなければならないのです!? 以前とは状況も違うのですから、せめて殿だけにでもお話を──」 と、三保野が必死になって告げていると、濃姫はふふっと小さく笑った。 「分かっています。殿には、今宵にも私の口から申し上げるつもりじゃ」 「本当にございますか?」 「ええ。義母上様や千代山殿、私の病を知る方々には全てお話し申す。……ただ、それ以外の者たちには話すことは出来ぬ」 「まことに、それで宜しいのでございますか?」 濃姫は笑んで頷いた。 「この織田家の安寧の為、殿の行く末の為にも、今はまだ、私の懐妊の件は公にせぬ方が良いのじゃ」 「……」 「分かってたもれ」 なな態度を突き通す濃姫に、三保野たちは納得がいかないながらも、 理解を求めてくる主人の意向に反発し続ける訳にもいかず、今は黙ってその旨を受け入れるのだった。 そして同日の夜。 いつものように濃姫の寝所へやって来ていた信長は、柔らかなの上にうつ伏して、自身の腰を姫に揉ませていた。 く無言であった信長は、ふいに伏していた顔を上げると 「そう申せば──そなた、本日の祝宴の席で倒れたそうじゃな?」 訊くのを忘れていたとばかりに、唐突に切り出した。 濃姫は一瞬手を止め、何かを考えるような風情で沈黙すると、やおらと微笑んだ。