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義龍が長良川の南岸に向かっ

義龍が長良川の南岸に向かって軍勢を出したとの報を受けた道三が、それに応じて鶴山を下りたのは翌二十日の辰の刻 ( 午前8時頃 ) であった。 そのまま長良川へと進軍した道三勢は、北岸に移り、義龍勢と対峙した。 緒戦は、義龍側の竹腰道鎮率いる一隊六百名ほどが円陣を組む形で長良川を押し渡り、道三の本陣へ迫り来て、旗本に斬りかかった。 両勢は入り乱れながら戦ったが、ここでは道三の的確な指揮が功を奏し、敵勢は敗走。 見事 道鎮を討ち取ったのである。 この折、道三は道鎮を討ち取って満足したらしく、床几 ( しょうぎ...

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「案ずるな、儂は必ずそなたの元へ戻って参る

「案ずるな、儂は必ずそなたの元へ戻って参る。吉報を土産としてな」 姫は不安の濃く浮かぶ顔に小さな笑みを作ると、ゆっくりと頭を垂れた。 「どうぞお気をつけて。…父上様のこと、お願い申しまする」 「分かっておる。──お濃、留守を頼んだぞ」 信長は笑顔を一つ残して、その場から去っていった。 遠ざかってゆく夫の背中に目を向けることもなく、濃姫はひたすら頭を下げ続けた。 これが、無力な今の姫に出来る精一杯のことであった。https://plaza.rakuten.co.jp/mathewanderson/diary/202407220000/...

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「案ずるな。親父殿は我が岳父にして

「案ずるな。親父殿は我が岳父にして、大事なる後ろ楯じゃ。親父殿に危機が迫りし時は、必ず儂が助けに参る」 力強い夫の言葉に、濃姫の目が俄に輝いた。 「それは、まことにございますか!?」 「ああ。儂は正徳寺にて親父殿と約束致した。親父殿が危機的状況に陥った時は必ず援軍を寄越すとな。 村木砦での戦の折に、親父殿は我が願いを聞き入れ美濃勢を尾張へ寄越してくれた。今度は儂が、親父殿の期待に応える番じゃ」 「殿──」 濃姫は何とも頼もしそうな目で、https://carinacyril786.e-monsite.com/blog/--14.html...

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その事実を思い返した時

その事実を思い返した時、喜平次はこの僅かな時間の中で全てを察した。 自分たちがここへ招かれたのも、道利が刀を置くように仕向けたのも、この手厚い持て成しも、何もかも自分たちを始末する為の義龍の謀(はかりごと)。 父が留守の時を狙ってわざと… そう思っている間に、弘就自慢の太刀が再び空を切り、喜平次の肩から腹部にかけてシュッと振り下ろされた。 殆んど即死であった。 しかし喜平次の身体は、無くなった意識とは関係なく、何とか生きようと小さくもがき続けていた。 やがて血で真っ赤に染まった自分の手を、弘就に向けて弱々しく伸ばし──...

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薄いが形の良い口元、すっと通っ

薄いが形の良い口元、すっと通った高い鼻筋に長い睫毛、女人のように細い下顎に、白い肌。 眠っている分いつものような権高さや雄々しさが排され、生まれ持った素の美しさが滲み出ていた。 濃姫は思わず苛立ちを忘れて夫の顔立ちの麗しさに見とれてしまっていたが 『 ようお眠りになっておられる。私がこのような夜更けになっても寝付けずにいるのは、あなた様のせいだと申しますのに … 』 ちょうど怒りと平静との中間に立っていた濃姫は、その僅かに残った憤りをぶつけるように、すやすや眠る信長の頬を軽くつねった。 何の反応もないので、そのままもう片方の頬もつねってみる。...

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「茶室へ向かう途中だったのであろう!? 何を

「茶室へ向かう途中だったのであろう!? 何を突っ立ておる、早よう案内致せ!早よう!」 報春院はやや赤らんだ顔を俯けると、着物の裾を翻し、千代山と共にそそくさとその場を離れていった。 濃姫は渡り廊下の中央に立ち尽くし、長らくそれを見送っていたが、ふいに胸の中に溢れるものがあり、その清廉な面差しに穏やかな笑みを浮かべた。 これはあくまで姫の推測に過ぎないが、きっと報春院は、初めは本当に信長を嫌っていたのだろうと思った。 誇り高く教養もある彼女は、激しい気性で何事にも奇抜な振る舞いの絶えぬ息子を、どうしても受け入れる事が出来なかったのであろう。...

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すると報春院は濃姫を一度睥睨す

すると報春院は濃姫を一度睥睨するように見つめてから、ふっと、吐息を漏らすような淡い微笑をその口元に浮かべた。 「何故か?そのような事は訊くまでもありますまい。信長殿は我が意に沿わぬ御子だからです」 濃姫は瞬時に目を瞬かせた。 「そのような事 …… 本気で仰っているのですか?」 「気性も荒く、行儀も態度も悪い、その上尾張一の荒くれ者じゃ。私の言うことなど何一つ聞かぬような子を、どうして好きになれようか !? 」 「されど、実の母と子をならば分かり合えるものがきっとあるはず!」 「今更あの子と何を分かり合えと申すのです。信長殿は、私という水から生まれ出た油じゃ。一生溶け合う事も混ざり合う事もないのです!」...

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「そのように声をお荒らげになられますな

「そのように声をお荒らげになられますな。 … おなごたちも見ております故」 濃姫は背後の侍女たちを一瞥して言った。 「聞きたい者は聞けば良いッ ── 。何が “ 叔父上を殺めるのであれば、時期を見計ろうてもっと上手う事を進める ” じゃ! https://kiya.blog.jp/archives/25478081.html https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/08/10/003734 https://kiya.blog.jp/archives/25478087.html...

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「母上、それにつきましては──」

「母上、それにつきましては──」 「いいえ、良いのです、分かっておりまする故。那古屋城を一門の誰ぞに与えでもしたら、いつ内紛を起されるか分かったものではありませぬからな。 ましてや信光殿のように、尾張下二郡と那古屋城を得、信長殿に並び立とうとする程の勢力を持たれたお人ならば、そなた様もさぞや御脅威と感じられた事にございましょう。 少なくとも家臣の手に預けていれば、那名古城は信長殿の手中にあるも同然。加えて下四郡がそのまま手に入ったとあらば……、https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202407230000/...

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濃姫はサッと顔を上げると

濃姫はサッと顔を上げると、信勝や土田御前に「少し失礼を致します」と告げ、その場を中座した。 夫を出迎えようと、濃姫が城の長廊下を足早に進んで行くと 「──殿っ!」 焦りの形相で駆けて来る信長と鉢合わせた。 知らせを受けて大急ぎでやって来たらしく、微かに冷気の残る季節だというのに、信長は真夏のように汗だくだった。 「濃!親父は!…親父は無事か!?」 「意識はございますが、大変危険な状態でございます」 「親父はどこにおる!?」 「案内(あない)つかまつります」 濃姫は素早く踵を返すと、信長を連れて元来た道を戻り始めた。...

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