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「さっきあいつに逝ったら吉田に埋めて

「さっきあいつに逝ったら吉田に埋めてくれって言われて,改めて死期が近いんかって思わされた。 いい酒持ってこいだの言うやないかって勝手に思っちょったけぇ何っつうか……。すまん……。」 山縣は目頭を押さえながら上を向いた。その姿に三津と入江は頷きあって山縣の両脇に立った。 「私も何か冗談言ってくれるもんやと思ってました。でも……高杉さんちゃんと自分と向き合ってはるんですね。 それにやっぱり二人の事は信頼してはる。だから頼みはったんですよね。逝った後の事。」 「嫁ちゃん……泣かす事言ってくれるな……。」...

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三津にとって今でも理想の夫婦なのだ

三津にとって今でも理想の夫婦なのだ。文に贈り物をと共に出掛けた時を思い出す。あの時の久坂は文だけを頭に浮かべて文だけを想っていた。 そして今も久坂の妻である事を誇りに思ってる文の愛が三津には尊敬に値する。 ただもし桂と文が結婚していたら,文はあの男をどう扱ったんだろうかとも思う。 「玄瑞と結婚出来たんは俺のお陰やからもっと敬ってもええのにな文の奴。」 「積年の恨みはそんな簡単に晴れないですよ。ね?」 三津に話を振られた入江はもう思い出させないでと項垂れた。そこで高杉はあ!っと声を上げた。 「九一!俺はお前に裏切られた事忘れちょらんからな!!」...

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「九一さんありがとう

「九一さんありがとう。私分かりました。もう納得しました帰りましょう。」 そう言って笑顔を向けたが,今にも涙が溢れそうで,すぐに顔を俯かせて三津は海に背を向けた。 「嫁ちゃんっ!」 自分の横を通り過ぎて足早に立ち去ろうとする三津に山縣が寄り添って,入江はその後ろを歩いた。 「何であんなきつい言い方したそ?確かに嫁ちゃんお節介な所あるけど別に自己満足でやりよるんやないやん。」 屯所に戻り部屋に篭った三津を心配しつつ,山縣は入江の後を追って自室まで入り込んだ。 壁にもたれて胡座をかく入江の前に仁王立ちであの言葉の真意を聞き出そうとした。...

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自分も木戸の妻だ。

自分も木戸の妻だ。だが武士の妻とは何なのだろう。それだけが頭に浮かんだ。雅は会釈をしてまた我が子の手を引いて歩き出した。 三津は立ち尽くして親子の背中を見送るしか出来なかった。それからとぼとぼ屯所の中へと戻った。 肩を落として戻って来た三津の頭を,入江はただ黙って撫でた。その優しい手の動きに三津の涙腺は崩壊した。 何の涙か分からない。混ざり合った色んな感情が込み上げて溢れ出した。 「どうした嫁ちゃん……。」 三津の泣く声を聞きつけた山縣も優しく背中を撫でてやった。 三津は泣きじゃくり,何度も両手で涙を拭って顔を上げた。https://www.liveinternet.ru/users/johnsmith786/post504877489/...

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雅は三津と違って表情一つ変えず冷

雅は三津と違って表情一つ変えず冷静そのものだった。繋がれた手の先に居る少年は物珍しそうにきょろきょろ黒目を動かしていた。 「初めまして、高杉の妻の雅と申します。あの,おうのさんはこちらに来られてますか。」 三津はそれを聞いて気が遠くなりそうだった。わざわざ愛人に会いに出向いたのだ。きっと今から修羅場だ。 『どうしよう……。おうのさんどうするんやろ……。』 三津が自分はどんな立ち位置でこの事を見てればいいんだと変な汗をだらだら掻いていると, 「来とりますよ。どうぞ〜。」 入江は全く動じることも無く至って普段通りの感じで雅と息子,https://carinacyril786.e-monsite.com/blog/--12.html...

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「変な話ですけど三津さん居るのが救いですね……。」

「変な話ですけど三津さん居るのが救いですね……。」 「そうやな……。」 今までに何人もの同志を失い,友を一人…二人…と失い,そしてまた消えゆく命が目の前にある。 まだ二人には受け止めきれない想いがある。見たくない現実が待ってる。 それでも変にどこか落ち着いてられるのは,その存在のお陰なのかもしれない。 「何でも背負わせ過ぎとるな,私らは。」 「結局甘えてしまってますね。三津さんも苦しい部分はあるだろうに……。」 「そうやな……。出来るだけ三津の心にも負担かけ過ぎんように気を付けんとな。」 高杉の病の名を聞いて誰もが動揺し,https://plaza.rakuten.co.jp/carinacyril786/diary/202404270000/...

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元周は広間に踏み込んで高杉の正面に

元周は広間に踏み込んで高杉の正面に腰を下ろした。中に居た面々は自ずと距離を取り,二人の様子を固唾を呑んで見守った。 「なんや元気そうやないか。自暴自棄になって酷い暮らししとるかと思ったわ。」 にんまり笑って嫌味のように投げかける元周を,高杉はふんっと鼻で笑った。 「俺がそんな落ちぶれると思うやなんて元周様もまだまだですなぁ。」 高杉の挑発的な目と発言に元周は声を上げて笑った。 「それでこそお前やな。もう少し話したいが我も暇ではない。だがまた来るぞ。」 「いや遠慮します。」 来る暇があるなら仕事してくれとげんなりした顔をしたから,元周はそれを見てまた笑った。https://mathewanderson7.pixnet.net/blog/post/148106734...

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おうのは高杉に不貞腐れたような顔

おうのは高杉に不貞腐れたような顔を見せてから三津の方へ向いて頭を下げた。 「すみません……。不快な思いを……。」 「いやいや!おうのさんが謝る事やないですっ!」 三津は焦りに焦って顔を上げてくれとおうのの隣りに行ってお願いした。二人になる事を提案した側だから,こっちの方がなんかすみません状態だ。 「晋作,おうのさんに頭下げさせて恥ずかしくないんか。」 入江はお前が謝れと頭を鷲掴みにして畳に押し付けようとした。 「いでででっ!すまんっ!https://plaza.rakuten.co.jp/mathewanderson/diary/202404270000/...

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おうのの家を出て少し歩いて

おうのの家を出て少し歩いてから桂はふっと笑った。 「どうしました?」 「いや,三津はやっぱり人の性質を熟知してるなぁと。」 三津は何の事?と首を傾げて桂を見上げた。 「晋作の性格をちゃんと分かってる。病人扱いをされたくない晋作には,遊び相手はいい言葉だった。」 「あぁ!その事ですか。みんなに隠すぐらいですから病を認めたくないのか,それともやっぱり病が怖いのか,それは高杉さんにしか分かりませんけど,いずれにせよ今まで通り接して欲しいんやないかと思ったんで。」 「そうだね。私も晋作の事はまぁまぁ理解してる方だと思っている。だからさっきも取り乱さず冷静に対応出来るかと思ったが……そうではなかった。」...

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その言葉に三津は目を丸くした

その言葉に三津は目を丸くした。奇兵隊が失くなるなど現実味がなさ過ぎて,どう反応すればいいか分からなかった。 それに帰る場所とは私の事なの?と目を瞬かせた。 「私が帰る場所なん?それで安心なんか出来るん?」 その質問に入江はふふっと軽く笑った。 「安心するっちゃ。京で私が死に物狂いで三津の元に帰った時,あの時のお帰りなさいにどれほど救われたか。 帰って来られた。生きちょる。この人の為にまだ生きんにゃいけんって思えた。 きっと有朋もそれを感じるはず。」 三津は大袈裟なと笑いながら,入江が戦から帰還したあの日を思い出した。...

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